大きな吸盤は木登り名人の証
赤みのある虹彩と指先についた大きな吸盤が特徴的なモリアオガエル。
池や川で暮らすカエルは水の流れが強いところや滑りやすい岩に張り付くために指先に吸盤がついていますが、普段地上で暮らしているカエルの指先には吸盤はありません。モリアオガエルは普段は水辺から離れて森林で暮らしているので吸盤は必要ないように思われますが、木に登る習性のあるカエルの指先にも吸盤がついていることが多く、モリアオガエルは木の上に卵を産むために指先に大きな吸盤がついています。
5月から6月の産卵期になると、池の水を体に溜めた大きな体をしたメスが木を登っていきます。この大きな体を支えるために、吸盤が大事な役割を果たしてくれます。池の水と粘膜をかき混ぜながらメレンゲのような泡を作り、この泡の中に卵を産んでいきます。メスが産卵を始めると我先にと数多くのオスが群がりカエルが苦手な人にはゾッとするような光景になりますが、受精した卵は泡の中でオタマジャクシまで育ち、雨とともに池に落下し水中での生活を始めます。
自然界は生存競争の激しい厳しい世界ですが、空から水中に飛び込んで始まる人生はドラマチックな感じがします。